その強みはいつまで強みですか?

事業を行うにあたっては、自社の強みを生かすというのが当然だと考えられます。
また、今後の事業展開を検討するにしても、強みを生かすというのがセオリーです。
しかし、現在の強みは今後も強みでいられるのでしょうか?

例えば、5年の経営計画を立てたとします。
今は独自性がある技術だったとしても、5年後はニーズが変わってしまっていることが予想されるのであれば、その技術に依存した経営戦略は危険です。

そもそも経営戦略を考えるにあたって、強みをどう考えれば良いのでしょうか。

強みとは相対的なものである

SWOT分析をした際に、得意なことを強みと捉えることはよくあることかと思われます。
しかし、実際に得意なことだったとしても、競合がより得意であれば、競合に対して比較劣位になります。
競合に対して比較劣位な点を軸にして策定した戦略は妥当性があるでしょうか。

例えば、生産力に自信がある点を強みだとして、戦略を策定します。
競合がより企業規模が大きく、生産力もはるかに大きいのであれば、生産コストの面で不利であり、販売価格にや収益性に影響します。
収益性で勝っていれば、プロモーションや研究開発に対してより資金を投入することができるため、同じ土俵で戦っている限りは、有利な企業はより有利に、不利な企業はより不利になっていきます。

強みとは相対的なものであり、比較優位性をもって強みと捉える必要があるでしょう。

強みの源泉は何か?

特に、競合が所有していない新型の設備がある点が強みだという場合、最も強みを失う危険性があります。
競合も資金さえあれば同様の設備を所有することができるためです。

また、機械の性能や機能は、技術の進歩により陳腐化しやすいものです。
今は最新型でも、次のモデルがリリースされたら最新ではなくなります。
当たり前ですが、以降最新型に戻ることはありませんので、失われた優位性と取り戻すことはできません。

強みの源泉が模倣されにくいものであるほど、今後も強みを維持しやすいということになります。

強みは時間とともに変わる

独自の技術という強みはどうでしょうか?
資金があれば購入できるものでないのであれば、設備よりも優位性を失いづらいと言えそうです。
しかし、将来に渡ってずっと安泰という訳ではありません。

まず、市場のニーズやトレンドが変わって、そもそも価値のないものになる可能性があります。
また、技術の進歩によって一般化してしまう、機械で行うようになって、スキルを持った人間がいらなくなるといった可能性もあります。

強みが強みでいられるかどうかは、その時の市場や技術動向といった外部環境による部分があり、それは時間の経過とともに変わると考えておく必要があるでしょう。

最後に

環境分析に使用するフレームワークは主観で考えないようにする必要があります。
また、経営戦略策定に使用するフレームワークは、基本的に環境変化というものを想定していません。

戦略策定にあたって、今後の外部環境の変化を考慮し、市場のニーズの動向、競合の動向を検討した上で、現在の強みが今後も強みでいられるのかということを考える必要があります。

以上、参考になれば幸いです。

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