「デザイン」というと、消費者向け商品の見栄えをよくするという認識の方も多いのではないでしょうか。
経営や付加価値の本質に関わるものではなく、デザインは表面的なもの……という認識は誤りです。
企業は買い手に対して付加価値を提供し、その対価をいただいています。
付加価値という切り口でどのような企業活動を行っているかというと、
- 付加価値の創造
- 付加価値の伝達
- 付加価値の提供
であると考えられます。
中でも付加価値の創造、伝達においてデザインが大きな役割を負っています。
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製造業の場合
製造業であれば、主に以下の活動をされているのではないでしょうか。
- 商品の企画・製造
- 営業や販売促進活動
- 販売
それぞれどのようにデザインが使用されているでしょうか。
商品の企画・製造
商品とは提供する付加価値を具現化したものです。
人間が作るものには程度の差はあれ、デザインが施されています。
そして、デザインによって性能や作りやすさも変わります(この点についての詳細は、別に機会にご説明差し上げたいと思います)。
営業や販売促進活動
商品を買い手に届けるためには、まず買い手に知ってもらい、興味をもってもらい、購入しようと思ってもらう必要があります。
そのために人的な営業活動や様々な手段でプロモーションを行う必要があります。
営業活動やプロモーション活動に使用する名刺、会社案内、Webサイトといったツール類にはもれなくデザインが施されています。
販売
商品や対象によって様々な販売チャネルを活用します。
店舗、Webサイトはデザインが施されています。
最終的に買い手の手元に商品が届き、使用することで付加価値を提供することになります。
サービス業の場合
役務を提供するサービス業の場合は、付加価値を具現化した商品を先に作ることはできませんので、製造業とはフローが異なります。
具体的には、まず買い手に価値を伝える必要があります。
その上で、買い手が対価を支払って役務を受ける場合に、付加価値の創造と提供が同時に行われます。
美容院を例に説明いたします。
まず、買い手は髪を綺麗にしてもらいたいという意思の元、店舗に入ります。
どの店にするかを決める際に、インターネットで検索するといったことや、店舗の外観から判断するといったことが行われています。
それらにはデザインが施されています。
実際に髪を切る、パーマをあてる、髪を染める、洗髪するといった役務は、付加価値の創造と同時に提供されている状態です。
店の雰囲気を決める要素である内装にはデザインが施されています。
製造業が付加価値の創造⇒伝達⇒提供となるのに対し、サービス業の場合は上記のように、付加価値の伝達⇒創造+提供となります。
なお、製造業でも受注生産型の企業はサービス業と近いフローになるでしょう。
卸売業、小売業の場合
卸売業と小売業の場合はまた異なります。
これらの事業者はいずれも商品を取り扱いますが、提供している付加価値は、買い手が必要なものを必要なときに手に入れられるようにしておくこと、つまりサービス業同様に形がないものです。
しかし、商品の提供をするにあたって、Webサイトや店舗、カタログといったデザインが施されるものを使用しています。
最後に
事業をやっている中で、デザインを必ずどこかで使用しているということ、特に付加価値の創造と伝達をするにあたって、デザインは大きな役割を負っているということをご理解いただいたのではないでしょうか。
企業の戦略に合わせて、デザインを戦略的に活用することは、事業活動を行うにあたって非常に重要です。
一度、貴社のデザインの活用状況を振り返ってみられてはいかがでしょうか。