データに見る経営資源への投資の効果

一般的にヒト・モノ・カネ・情報を経営資源といいます。
経営においては限りがある経営資源を有効に活用することが求められますが、収益を拡大するにあたっては、経営資源への投資も必要です。

2024年中小企業白書ではいくつかの経営資源に対する投資の効果についてデータがありますので、それらを紐解いていきましょう。

人材育成

「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり」とは武田信玄の言葉とされていますが、人材のマネジメントの大切さを説いています。

さて、時代が変化する中で、入社時の能力やスキルだけで対応していくことはできません。
そのため、人材の育成は企業規模の大小を問わず必須です。

2024年版中小企業白書によると、人材育成に関する取り組みを増やした企業は売上高と労働生産性が向上傾向にあり、増やしていない企業は売上高と労働生産性が減少傾向にあります。

参考:売上高及び労働生産性の変化率(人材育成の取組の増減別、中央値)

ヒト・モノ・カネ・情報の4つの経営資源のうちのヒト(人的資源)が他の3つの資源を活用して事業活動を行うわけですから、人材育成は成果が顕著に現れるのかもしれません。

設備

少子高齢化もあって、人材確保が難しくなりつつあります。
そのため、人手不足に対応するための設備投資も有効な手段です。

2024年版中小企業白書によると、人手不足への対応を目的とした設備投資に取り組んだ企業は売上高が向上傾向にあり、実施していない企業は減少傾向にあります。
また、設備投資をした企業の方が、経常利益が高い傾向にあります。

参考:売上高・経常利益の変化率(人手不足対応を目的とした設備投資の実施有無別、中央値)

設備投資による売上高の向上は比較的早く成果が出る傾向にあるようで、また設備投資をしないと差が埋まりづらいことが示唆されるデータもあります。

参考:売上高の推移(設備投資の実施有無別)

人材確保は今後ますます難しくなりますので、必要に応じた設備投資を推進する必要性が高まるかもしれません。

研究開発

研究開発もまた、企業の売上高にプラスの影響を与えることがデータとして示されています。

2024年版中小企業白書によると、2017年に研究開発投資を実施した企業は、2020年のコロナ禍を経て、2021年度の売上高の回復・向上、並びに付加価値額が2017年以降に研究開発投資を一切していない企業よりも高い傾向にあります。

参考:売上高の推移(研究開発投資の実施有無別)
参考:付加価値額の推移(研究開発投資の実施有無別)

日々の業務は大切ですが、毎日をルーチンワークで終えず、新たな知見やノウハウを得るための投資は、数年後の売上高や利益になって現れる傾向にあることが示されています。

最後に

今現在の業務に対応するにあたっては、特に投資を必要としないのかもしれません。 しかし、人的資源、設備資源、ノウハウに対して投資をしている競合がある以上、何もしなければ差が広がる一方であり、それは自社の相対的な地位の低下を意味します。

現状を維持するためにも成長を促すための自己投資が必要だと言えます。
ましてや、より上のステージに進みたいのであれば猶更ではないでしょうか。

以上、参考になれば幸いです。

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