不気味の谷現象というものがあります。
森政弘東京工業大学名誉教授が1970年に発表した理論で、ロボットの外観や動作がより人間らしくなるにつれてだんだん印象が良くなるものの、ある時点を超えると嫌悪感に変わり、さらに人間に近づくと再び親近感を覚えるというものです。
要するに、ロボットの顔がリアルになると却って気持ち悪くなるということです。
なぜそうなるのかといった理由についての研究もされています。
2020年にアメリカで行われた実験では、人間だと思ったものが人間ではなかったと判明した際の感じるギャップが、違和感や嫌悪感を呼び起こすとしています。
認識と見た目から受ける印象とのギャップがある場合、却ってマイナスの印象を持つということについて、経営においても考えなくてはいけないことではないでしょうか。
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付加価値とデザインとの一致
ビジネス街にある中華料理店の外装を見たら、中華料理店だと分かるでしょう。
間違っても、ペットショップやクリーニング店とは思わないはずです。
なぜなら、中華料理店だと分かるようなデザインの外装にしているからです。
さらに、1食で数万円を超えるような店には見えないでしょう。
なぜなら、昼食目的や仕事が終わって飲みに来た人が気安く入れるような価格の店が高級そうな店に見せると、本来訴求したい相手に適切に訴求できないからです。
消費者向け事業をされている方は、店舗の内装や外装、制服といった顧客との接点におけるデザインに配慮するのですが、それに対して事業者向けの企業になると、気にされていないケースも多いのではないでしょうか。
付加価値とデザインとのギャップ
事業者向けの企業の多くは店舗を持ちませんが、それでも顧客との接点ではデザインを活用しています。
例えば、名刺を使用していない企業はほとんど存在しないのではないでしょうか。
Webサイトはいかがでしょうか。
その他、会社案内、商品のカタログといったものを使用されているでしょうか。
そして、それらには全てデザインが施されています。
高価格帯の商品を提供しているのにデザインからラグジュアリーなイメージを受けない、おしゃれな商品を提供しているのにデザインがおしゃれじゃない、長い伝統が売りなのにデザインがら伝統の長さを感じない。
これでは付加価値をデザインとの間にギャップがあります。
貴社が提供する付加価値との間にギャップはないでしょうか。
ビルと握手と外国人
事業者向けの企業のWebサイトや会社案内で、メインのビジュアルにビルの写真、握手の写真、外国人の写真を使っているのをよく見かけませんか?
自社が入っているビルの写真ならともかく、無関係のビルの写真を使用しても自社の訴求にはなりません。
要するに「なんとなくビジネスっぽい」写真を使用しているだけで、何も訴求していません。
握手や外国人の写真も同様のことが言えます。
最後に
企業は付加価値を創出し、提供するためには付加価値を伝えて顧客になっていただく必要があります。
付加価値を伝えるために訴求したいことと、実際のデザインとの間のギャップが大きいと訴求力がありませんし、不気味の谷に入っていると却って違和感を覚えさせてしまうかもしれません。
貴社のデザインは、訴求したいこと実際のデザインとの間にギャップはないでしょうか。