中小企業のDXが進まない理由

DX(デジタルトランスフォーメーション)は、環境変化に対応していくために、我が国の事業者のすべてが取り組まなければいけないことです。 しかし、DXに対する取り組みは、規模の小さな企業ほど進んでいないのが現状です。

DX白書2023に掲載されている、従業員規模20人以下の中小企業がDXに取り組むにあたって課題として挙げられているものの上位のものを元に、なぜ中小企業のDXが進まないかということを考察していきたいと思います。

参考:DX白書2023「DXに取組むに当たっての課題(従業員規模20人以下)」

予算の確保が難しい(26.4%)

現実問題としてキャッシュフローに余裕がない企業であったり、他に優先事項の高い出費があったりという状況であれば、DXに限らず新しい取り組みのための予算の捻出は難しいかもしれません。

実際に予算の確保が難しい場合は、全体を一気に進めていくのではなく、予算のかからないことからステップバイステップで段階的に進めていくことで投資を抑えて進めていくという方法でいかがでしょうか。

具体的な効果や成果が見えない(24.3%)

これは誤解をされている、あるいは手段が目的化していると考えられます。

まず企業としての課題があって、課題を達成するための手段の一つとしてDXであって、「DXをするとうちの会社はどう良くなるのか?」という考えは全く逆です。

このベースにあるのが、現状の業務を、今のやり方でやっていけば、少なくとも現状を維持できるという考えではないでしょうか。

現実はむしろ逆で、現状を維持しようと思ったら、現状のやり方では叶いません。
例えば、国内人口が減少に伴って内需は減少していますので、現状を維持するということは、売上高においては減少を意味します。
少子高齢化により、労働力の確保も難しくなっているため、現状の人員の維持すら難しく、今後の売上高の減少、マンパワー不足により受注すらできなくなるといったが見込まれます。

こういったことに陥らないようにする手段の一つがDXということになります。

DXに関わる人材が足りない(23.5%)

人材が足りないというのは2つの意味が考えられます。

DXに関わるスキルや能力を持った人材がいないという意味と、そもそも通常業務で手いっぱいで、新しいことに携わるマンパワーがないという意味です。

スキルや能力の不足は教育によって補うことが対策として考えられます。
通常業務で忙しいのであれば、業務の見直しや閑散期に段階的に進めていくといったことが考えられます。

また、特に規模の小さい企業にありがちなのが、自分たちだけでやろうとしているということです。
規模が大きな企業はすぐに外部の専門家を活用しますが、その選択肢がないといつまでたっても何も進まない可能性があります。

何から始めてよいか分からない(22.8%)

これも自分たちだけでやろうとしていることが理由です。
外部の専門家を活用すればすぐに解決します。

従業員規模21人以上の場合

従業員規模20人以下のDXに取組むに当たっての課題は上記の4つが上位でしたが、従業員規模が21人以上になると上位の順番にもやや違いが見られます。

  • DXに関わる人材が足りない(41.8%)
  • ITに関わる人材が足りない(33.4%)
  • DXに取り組もうとする企業文化・風土がない(25.7%)
  • 具体的な効果や成果が見えない(23.8%)

参考:DX白書2023「DXに取組むに当たっての課題(従業員規模21人以上)」

企業文化・風土は一朝一夕では変わりませんが、経営者様がリーダーシップを発揮して、自分たちは変わらないと今後生き残れないことを浸透させていくということになるでしょうか。

最後に

こういったアンケートは、どういった姿勢で回答しているのか不明なことは否めません。
課題として挙げているものも、表面的な回答の可能性も考えられます。

例えば、予算が確保できないと回答していても、変化そのものを嫌うリスク回避意識を予算のせいにして正当化しているという可能性です。

いずれにしても、経済産業省が何年も前からITやDXと言っているのには意味があります。
変わらなければ今後の変化に適応できないことは間違いないので、早めに取り組んでいかれることをお勧めします。

以上、参考になれば幸いです。

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