売上高を上げたい際に、具体的な手段を考えがちですが、最初に手段を考えると高確率でうまくいきません。
なぜなら、商品特性や顧客といった企業の状況や目指すべき姿が異なれば、適切な手段が異なるためです。
売上高は一般的に「客数×客単価」に分解できますので、それをベースに売上高向上性の方向性について考えたいと思います。
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商品特性を分析する
商品(サービス)は客数を上げやすいものでしょうか。
なお、ここでいう客数とは、新規顧客開拓と既存顧客のリピーター化の両方を指します。
同じく、商品(サービス)は客単価を上げやすいものでしょうか。
ここでいう客単価とは、商品1つ当たりの価格、及びクロスセル(他の商品との合わせての販売)をしやすさを考えてください。
客数を上げやすい商品かどうか
消費財のように、価格が低めで使用頻度の高い商品、普及価格帯の飲食店であれば、新規顧客開拓をリピーター化もしやすいといえるでしょう。
逆に、家のように一生に一回にしか購入する機会がない商品になると、新規顧客開拓はできますが、既存顧客のリピーター化は期待できません。
客単価を上げやすい商品かどうか
カスタムオーダーの商品や、組み合わせて購入する商品であれば、買い手が満足する範囲で付加価値を上げることで客単価の向上を図ることができます。
サブスクリプションサービス、購買点数が1つで価格の相場が決まっているといった商品やサービスの場合は客単価を上げづらい商品です。
売上高向上の方向性を検討する
客数を増やしやすいか否か、客単価を上げやすいか否かを2×2のマトリクスにして分類することで、方向性が明確になります。
【Aタイプ】
客数、客単価ともに向上させやすいタイプです。
客数増加として、新規顧客開拓のための方策、既存顧客の増加(リピート化・リピート回数の増加)のための方策を行います。
客単価向上として、付加価値の向上やアップセル、クロスセルの手法を検討します。
その上で、収益額が高く、実行しやすいものから実行していけば良いでしょう。
【Bタイプ】
客数は増やしづらいものの、客単価は上げやすいタイプです。
買い手に合わせた付加価値の向上、買い手に合わせたカスタマイズ、競合との差別化といった形で、顧客の価格向上に対する納得感を高めることで客単価の向上を図るといったことが考えられます。
【Cタイプ】
客数を増やしやすいものの、客単価を上げづらいタイプです。
商品特性としてリピーターを増やしやすいならリピーターを増やす、リピーターになりづらいものは新規獲得といった順番で検討します。
一般的に新規の顧客開拓にかかるコストは既存顧客に対するコストと比べると5倍必要だと言われています。
売上高が同じだったとしてもコストが低い方を優先して考えます。
【Dタイプ】
客数を増やしづらく、客単価も上げづらいタイプです。
提供の仕方や販売や営業を代わりにしてくれるパートナーとのアライアンスといったように、ビジネスモデル自体を大きく変えるというのが考えられます。
また、既存の商品ではなく、新たな商品を取り扱うことで収益向上を図るという考え方もありえます。
最後に
プロ野球選手も10回打席に立つ内、3回ヒットを打てればよいと思って打率が3割なのではなく、毎回ヒットを打つつもりで打席に立って3割しかヒットを打てません。
売上高も同様で、顧客の都合を始めとしたコントロールできない事象の影響で売上高は上下するものですから、維持をしようと思って維持できるようなものではなく、常に向上しようと思って初めて維持や向上ができるものです。
まずは客数×客単価の方向性を明確にしてから具体的な手段の検討されることをお勧めします。
以上、参考になれば幸いです。