少子高齢化が進行しており、労働力の確保が今後ますます難しくなっていく中、ITツールを活用することで人的資源の不足を補うことは、企業にとって重要な課題です。
会社に出社してフルタイムで働くといった、今まで一般的とされていた働き方以外の多様な働き方に対応することは、人手不足の解消、緩和につながる手段になり得ます。
多様な働き方に対応するためには、設備面の対応も必要なのですが、同時に就業規則の整備も必要です。
Table of Contents
就業規則は社労士に依頼する
常時10人以上の従業員を使用る場合、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署長に届け出る必要があります。
10人未満の場合は義務ではありませんが、従業員の方々の働き方によっては就業規則を作っておく必要がある場合もあるでしょう。
では、この就業規則を作成するに当たっては、誰に相談し、誰に依頼すべきでしょうか?
答えは社会保険労務士(社労士)です。
就業規則の作成に必要な知識
就業規則を作成しようと思ったら、労働基準法や労働契約法、社会保険法といった知識が必要です。
場合によっては他の知識も必要かもしれませんが、最低以上の知識が必要になり、社会保険労務士はそれらの知識があります。
それらに強い弁護士もいますし、そちらに依頼しても良いですが、一般的なのは社会保険労務士です。
行政書士や税理士も就業規則を作成しますといっているケースもありますが、全くのナンセンスです。
行政書士試験の内容は以下の通りです。
- 憲法
- 行政法
- 民法
- 商法
- 基礎法学
となっており、労働基準法や労働契約法、社会保険法のいずれも存在しません。
税理士試験の内容は以下の通りです。
- 簿記論
- 財務諸表論
- 法人税法あるいは所得税法のいずれか1科目以上
- 相続税法、固定資産税、国税徴収法、酒税法あるいは消費税法、事業税あるいは住民税法の中から2科目または1科目
上記11科目から5科目を選択して合格する必要がありますが、やはり労働基準法や労働契約法、社会保険法のいずれも存在しません。
行政書士も税理士も労働基準法や労働契約法、社会保険法に関する知識を持っていないので、適切な就業規則ができあがる保証はないでしょう。
というよりも、労働基準法や労働契約法、社会保険法については素人です。
ネットや書籍で紹介されているテンプレートを使用すれば、誰でも(知識がない人から見たら)それっぽいものを作ることができるかもしれません。
しかし、適切ではない就業規則は、何かあった時に会社側も従業員側も、どちらもちゃんと守れないものになりかねません。
別の視点から考える
士業もサービス業ですので、サービスを提供する立場という視点で考えてみましょう。
ろくに知識もないのに就業規則を作るというのは、自分の儲けのためにクライアントはどうなっても良いということです。
サービス事業者としてどう思われるでしょうか?
ましてや、それが士業として国からバッジを預かっている身であれば、なおさら適切な対応が求められているはずです。
就業規則を自分が作りましょうかという(社会保険労務士資格をもっていない)行政書士や税理士は、一人のサービス提供者として、一人の商売人として、当然一人の士業として、信用ができないと言えるのではないでしょうか。
最後に
今後ますます、多様な働き方が求められていくでしょう。
そのためには、多様な働き方に対応した規則類の整備が必要です。
適切な専門家に適切に依頼することも、環境変化への対応として求められることです。
人を雇用するのが難しいからこそ、適切な専門家を上手く活用して、自社のリソースを事業に集中できるようにしていただければと思います。
以上、参考になれば幸いです。