「旅行に行きたいのですが、どうやって行ったら良いですか?」
それだけを聞かれて正確に答えられる人はいないでしょう。
- どこに行くのか
- 目的
- いつ
- 誰と
- どれだけの期間なのか
こういった条件が全く分からないからです。
つまり、最終的なゴールについて明確でないにも関わらず、ゴールに到達するための手段を考えても、適切に答えようがないということです。
しかし、企業の経営においてはゴールを設定していないにも関わらず、手段を考えようとされがちです。
その結果、手段が目的化してしまうといったことがよくあります。
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まず明確にすること
まず明確にすることは、現状とゴールです。
「x-y=z」のzの値を導き出そうと思ったら、xとyの値がいくらなのかが分からなくては計算ができません。
言うならば、xがゴール、yが現状です。
そしてzはその間のギャップです。
現状とゴールが明確になり、その結果としてギャップが明確になる。
このギャップを埋める方法が問題の解決手段となります。
このように、全てに先駆けて、まず現状とゴールの設定が必要となります。
現状の把握
現状の把握と言っても定性的な部分と定量的な部分があります。
売上高や在庫数、売上高における顧客ごとのシェア率といった定量的な把握はしっかりと行いたいところです。
定量的なことだけでなく、事業ドメインやブランドイメージといった定性的な部分も整理しておきましょう。
フレームワークやツールを使えば便利です。
使用するのは経済産業省のローカルベンチマークでも結構ですし、ビジネスモデルキャンパスでもなんでも結構です。
自社のことですからどうしても主観で見ることになります。
より客観的に自社のことを把握したいというのであれば、中小企業診断士に依頼するというのも一つの方法です。
ゴールの設定
どのようなゴールを設定するのかは経営者としての判断になります。
ただし、前述したように、具体的かつ妥当性が高いゴールの設定が求められます。
ゴールが具体的でない場合
ゴールが具体的ではない場合は、現状とのギャップが明確にならないために具体的、効果的な手段を導き出すことができません。
例えば、売上高が5億円の会社の経営者様が、売上高をもっと上げたいと考えたとします。
5億の売上高を、同じ期間で8億にする手段と、10億にする手段は異なります。
また、5億円の売り上げを5年で8億円にしたいのか、10年で8億円にしたいのかで、やはり手段は異なるはずです。
ゴールは具体的であることが求められます。
可能であれば、定量的であるか、達成の度合いが分かるものである必要があります。
ゴールの妥当性が低い場合
ゴールの設定の妥当性が低い場合は、そもそも達成できる手段がありません。
ずっと売上高が3億円前後で安定している企業が、5年後に売上高を100億円にすることをゴールに設定しても、達成できるような都合の良い方法はないでしょう。
当然ながらゴールに到達することはありません。
手段がゴールになってしまわないよう注意
あくまでも、ゴールを達成するための手段です。
ですが、実行しているうちに、いつの間にか手段をこなすことが目的になってしまうことがよくあります。
例えば、国はIT化.・DXを推進しようとしており、そのために補助金もあります。
繰り返しますが、IT化・DXは手段であって、IT化・DX自体がゴールになってしまっては本末転倒です。
収益性を向上させるといったゴールがあり、そのために付加価値向上に寄与しない工程の効率化を図る、情報や行程の管理を高度化する、といった課題があって、課題達成のためにIT化・DXという手段を講じる……という流れのはずです。
その他、補助金をもらうことが目的になってしまった設備投資、自社にとって負荷が上がっただけで意味をなしていないSDGsへの取組といった、手段自体が目的になってしまうといったことは絶対に避けましょう。
最後に
ゴールが明確にならないと、妥当な達成手段を検討し、実行することはできません。
ましてやゴールと手段とを混同してしまうと、従業員の方々に無駄な負担を強いた結果、何の成果も出なかった、なんてことになりかねません。
参考になれば幸いです。