2014年にアメリカのウェスタン・ワシントン大学である実験が行われました。
木の枝にお金ををぶら下げたら、どれだけの人が反応をするかというものです。
結論を述べると、通過した人の6%しか吊り下げられた紙幣に気が付かなかったということです。
(参考:Failure to see money on a tree: inattentional blindness for objects that guided behavior)
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実験の詳細
いくつかの狭い歩道で、通行する人々が通路上の枝にぶら下がっているお金を通過する様子を2週間観察しました。
お金を見るために立ち止まったり、お金を受け取ったりした場合、お金を認識しているとカウントしました。
合計396人の個人を観察した中で、性別、年齢、通過時の行動の内訳はそれぞれ以下の通りです。
【性別】
男性:203名
女性:193名
【年齢】
大学生:375名
年配者:21名
【行動】
電子デバイス等の仕様なし:268名
音楽プレイヤーで音楽を聴いていた:65名
携帯電話で通話中:33名
テキスト打っていた:30名
なお、別の人がお金を調べるために立ち止まっている場合、それに遭遇した個人については追加の観察は行いませんでした。
実験の結果
【Aグループ】
電子デバイス等の仕様なし:268名
音楽プレイヤーで音楽を聴いていた:65名
の合計333名の内、66名(19.82%)がお金の存在に気づきました。
【Bグループ】
携帯電話で通話中:33名
テキスト打っていた:30名
の合計63名の内、4名(6.35%)がお金の存在に気づきました。
Aグループ、Bグループの分け方は特に統計的に優位性がなかったため、同じグループとしており、AグループとBグループとの間には明確な統計的な優位さがあったということです。
電話中、あるいはテキストを打っていたことで観察力が低下し、異変に気付けなかった割合が高いということが伺えます。
しかし、Aグループであっても8割強の人はお金の存在に気が付いていません。
気づかない機会は掴めない
良く知られた経営戦略のフレームワークであるSWOT分析(クロスSWOT)だと、強みを生かして機会を掴んでいくというのがプライオリティが高い戦術になります。
しかし、機会に気づかなければ機会を掴むことはできません。
そして、先の実験でも分かるように、普段と違うことがあったとしても、それに気づく人は少ないということです。
日常がルーチンワークになっていると、普段通りの行動を取っていれば問題なく物事の処理ができるのかもしれません。
しかし、そういった状態だと新たなこと、日常の変化に目を向けていない状態ですから、気づきを得られづらく、変化にも気づきにくいでしょう。
2種類の機会
機会というものは大きく2種類に分けられると考えらえます。
一つは、すでに存在していたのに今まで見落としていたもの、もう一つは今まで存在しなかったものの、今現れた(あるいは今後来ることが見込まれる)ものです。
いずれにしても、そういった機会を見落とさないためには、普段とは違う視座や視点、小さな変化に対して敏感になる必要があるでしょう。
また、常に新たな可能性を得られるような行動が求められます。
そのためには、常に新しいことに対して興味や関心を持つ、新しい経験に対して前向きであることといった自身の感受性を鷹前う行為、交友関係を広げて情報を収集するといった他者の目を借りるといったことが必要だと考えらえます。
最後に
機会というものが実は常に溢れているものであるのか、なかなか存在しないものであるのかは分かりかねますが、気づくことができなければ存在しないのと同じです。
幸か不幸か、常に外部環境は変化しています。
まずは変化そのものを捉え、その変化を機会として活用していくことができれば、企業の成長にもつながるのではないでしょうか。
以上、参考になれば幸いです。