理念がただの言葉で終わっていないか

共同通信社の誤報が、様々な新聞社のニュースサイトで報じられています。

読売新聞によると以下通りです。

2022年8月15日に自民党の生稲晃子参院議員(現・外務政務官)が靖国神社に参拝したと報じた配信記事は誤りだったと発表した。実際には参拝していなかったと訂正し、「日韓外交に影響した可能性がある」との認識を示した。

引用元:読売新聞「生稲晃子氏の靖国参拝報道、共同通信が訂正し謝罪…韓国の「佐渡島の金山」追悼式典参加見送りに影響か」

この件を題材に、企業の理念、ポリシーについて考えてみたいと思います。

会社としてのポリシー

共同通信社Webサイトの社長メッセージとして「確かなニュースを速やかにー。それが、わたくしたちのポリシーです。」「ネット空間では日夜、フェイクニュースや中傷、真偽不明の言説が飛び交っています。だからこそ、共同はファクトにこだわり抜きます。事実を追い、掘り起こし、裏付けを取る。」とありますが、読売新聞の記事によると「本人に確認取材をしないまま記事化した。」と公式に社として回答していますから、社長の言うポリシーとは全く正反対の記事をリリースしたことになります。

参考:共同通信社Webサイト

インターネットの発展により、既存のメディア(オールドメディア)では捉えきれない情報、到底追いつかないスピードでのニュース配信ができるようになりました。

情報の網羅性とスピードというニュースにおける重要な2つの要素において、インターネットに適わないオールドメディアは、ニュース配信者として自分たちは正確性を追求しようと本当に考えていたのかもしれませんし、インターネットへの反発から正確性を強調していただけかもしれません。

しかし、実際には本人に確かめもせずにコタツ記事を書いただけで、確かなニュース、ファクトにこだわりぬく、裏付けを取るというのが言葉だけで終わっているというのが現実でした。

企業の理念とは

経営理念、フィロソフィー、ミッションステートメントといったように、企業としての指針や従業員の行動指針を設定している企業は多いでしょう。
しかし、それがただの言葉だけになってしまっていたら全く意味がありません。

組織全体に浸透させなければいけないという前に、経営理念、フィロソフィー、あるいはミッションステートメントとして掲げているものは、そもそも自分あるいは自分たちから出てきたものなのでしょうか。

共同通信社を例にすると、社長の言葉はマスメディアとして至極真っ当なもので、言葉としては非の打ちどころはないのかもしれません。

共同通信社は左寄りの思想に基づいた記事が多いといった評価もされますが、どういった思想であれ自社の思想に合致している内容であればチェックもせずに記事にしていたのであれば、社長の言葉とは正反対の行動です。

あるいは思想的な背景がなかったとしても、ファクトに基づいた記事ではないので、いずれにしても社長の言葉には合致していません。

最後に

理念やポリシーは目標ですから、きれいごとになりがちなのは仕方がありません。
しかし、きれいごとで終わらず、社内の全員が達成できるように努める必要があります。
さもなければ、ただの言葉で終わってしまいます。

このケースでは理念やポリシーが従業員に認知されていないのか、認知されているだけで守られていないのかは分かりかねますが、いずれにせよ共同通信社にとって良い結果にはなっていないはずです。

これを他山の石として、耳障りの良い言葉だけの理念やポリシーではなく、自分たちの中から出てきた思いを明文化し、社内に浸透させるよう改めて努めてはいかがでしょうか。

以上、参考になれば幸いです。

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