知らない場所に行くにあたっては、一般的には(スマホで表示した)地図を見ながら行くのではないでしょうか。
何となく進んで、勘で曲がっても、目的の場所に、目的の時間までにたどり着かないからです。
経営も同様です。
将来(3~5年後)のありたい姿を設定し、設定した経営ビジョンを達成するために逆算して行動しないと、同じ場所をグルグルと回るだけで、いつまでたっても前には進めません。
経営ビジョンがあるから社内の全員が同じ目標に向かって進むことができます。
経営ビジョンがなければ、中長期的な視点を持てないため、全員が目の前のことへの対応で終わってしまいます。
では、ビジョンはどのように設定すべきなのでしょうか。
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自分がワクワクできるか
ワクワクの程度や、どうなったらワクワクするかは人によって異なります。
しかし、自社のありたい姿ですから、自社の姿に対して自分自身がワクワクできるようなビジョンでないと意味がありません。
自身がワクワクできるようなビジョンを描けないのに、従業員の方も楽しく仕事をすることはできないでしょう。
共感を得られるか
従業員はもちろん、金融機関を含めたステークホルダーの共感を得られるようなビジョンが望ましいです。
現状の延長線上にある
どのような経営ビジョンを描くのも自由ですが、現実性、実現性がなければ意味がありません。
事業者向け製品の部品を請負で製造している製造業者が、今後の需要を鑑みて自社で消費者向けの製品を開発して販売していきたいというのは一定の妥当性があると考えられます。
市場の調査能力や企画力、営業先の開拓といった課題はたくさんありますが、既存の技術を生かせるのであれば、コアとなる技術はすでに備えていると言えるでしょう。
しかし、同社がシステム会社に事業転換するとなるといかがでしょうか?
既存のリソースで新事業に生かせるものがどれだけあるでしょうか。
事業を転換すること自体が悪いことではありません。
事業をやっていくにあたっては経営資源が必要ですが、既存の資源を生かせない事業転換は従業員や金融機関の理解を得られにくいでしょう。
必然的に実現や成功の確度が低くなります。
具体的かつ定量的
達成したかどうか、あるいは進捗度合いを測るためにも、具体的かつ定量的であるべきです。
例えば、
- 売上
- 利益
- 顧客満足度
といった定量的なことだけでなく、
- 新規事業の開始
- 海外進出
- 事業承継
のような、是非の判断がしやすいものも良いでしょう。
ブランドイメージのような、アンケートや調査によって図ることができるものもビジョンとして妥当といえるでしょう。
しかし、「○○を目指す」「××に貢献する」「△△の力を高める」といったことだと、抽象的で人によってイメージするものが違ってしまうものはビジョンには不適切だと考えられます。
達成や進捗の度合いが分からないからです。
中期視点に立っていること
3年ないし5年後のありたい姿ですから、その時の外部環境や内部の環境を見据えたものであることが求められます。
1~2年後の姿を設定し、現状から売上増加分を単純に2倍にして……といったものでは、中期的な視点に立っているとは言えません。
このように、短期的視点に立っていては経営ビジョンとして不適当ということになります。
最後に
自社の経営ビジョンを設定するのは経営者の役目です。
また、経営ビジョンを浸透させることで従業員の方々のパフォーマンスが変わります。
もし、経営ビジョンを設定していないのであれば、コロナ禍でこの先がどうなるか分からない今こそ、考えてみてはいかがでしょうか。