近年、アート思考という言葉を目にする機会が増えていないでしょうか?
アート思考という言葉に対して、まだ明確な定義は無いようですが、概ね芸術家が作品を生み出す時の考え方や思考プロセスのことのようです。
抽象的なので、分かったような分からないような印象を受ける方が多いのではないでしょうか。
いずれにしても、新たなアイデアをゼロベースで発想し、をれをビジネスに生かそうというイメージのようです。
芸術家はゼロベースでものを考えているのか、無から有を作っているのかという疑問が湧きますが、それはさておき、論理的な思考力だけではなく、発想力・創造性も鍛えましょうというのは首肯できるのではないでしょうか。
そのために、定期的に絵を描きませんかというのが本記事の趣旨です。
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上手い下手は関係ありません
絵が苦手だ、下手なので描きたくないと思われた方も多いでしょう。
誰かに見せるための絵ではなく、右脳の開発のために行うものです。
上手い下手は全く関係がありませんし、気にする必要はありません。
余談になりますが、国語や算数は一から教えるのに対して、図工や音楽・体育のような実技系の科目はちゃんとやり方を教えずに児童にやらせて点数だけをつける傾向にあるような気がします。
小学校1年生の時点で苦手意識を持ってしまうと、その後はなかなか克服するのが難しいと考えられます。
絵を描く効果
絵を描くという行為は、集中する、考える、手を動すといったことが伴うため、脳の活性化に繋がります。
もう少し具体的に言うと、脳の最高中枢であると考えられている前頭前野が活性化します。
前頭前野は、あらゆる動物の中でヒトが最も発達しており、脳の30%を占めます。
チンパンジーでさえ脳の内の10%以下であり、「考える」「新しいことを創造する」「記憶する」「判断する」「計画する」「感情をコントロールする」といった、高度な機能を司どっています。
絵を描くと、前頭前野の活性化に伴う発想力や想像力の向上以外にも、ビジネスに直接かかわりがあるストレスの軽減と観察力の向上といった効果も期待できます。
ストレス軽減
アメリカ・ドレクセル大学のギリジャ・カイマル准教授の研究によると、絵を描くといったクリエイティブな活動を45分間することでストレスホルモンといわれるコルチゾール値の減少が見られるとのことです。
私見ですが、絵を描くことに集中することでマインドフルネス瞑想と同様の効果が得られるのかもしれません。
観察力の向上
写実的に描くのであれ、抽象的に描くのであれ、何かを見て絵を描くとなると、意識してよく観察をしなくてはいけません。
定期的に観察する機会を作ることで必然的に観察力が向上します。
今まで何気に見逃していたことであっても、定期的に観察する機会を作ることで、多くの情報が得られるはずです。
それを続けることで情報を得る力が向上し、今まで以上にビジネスの種になりそうなきっかけが得られるのではないでしょうか。
どんな絵を描くか
絵を描くといっても、本格的な画材のセットを買ってきて、キャンバスに油絵を描きましょうというものではありません。
もちろん、せっかくの機会なので本格的な絵にチャレンジしていただいても良いのですが、こういったことは習慣化しないと意味がありません。
そこで、ゼンタングルをお勧めいたします。
ゼンタングルとは簡単な模様によって描かれたアートで、集中して描くことで禅のような効果が得られるとのことです。
上記の本であれば、絵の技術も不要で、見本を見ながら模様を描くだけですのでどなたでもすぐに始められます。
また、何時間もかかるようなものではありません。
ある程度慣れてきたら、鉛筆画や筆ペン画、水彩といったように、より高度なものにステップアップしていけば良いのではないでしょうか。
最後に
与えられた問題をどのようにして解決するかを考えるのは経営者の仕事ではなく、現場の担当者の業務です。
規模が小さい企業の場合、経営者もオペレーションの作業を行うことは多々ありますが、経営者としての仕事は「この問題をどう考えるか」の前の「どういったことを考える必要があるか」から考えることではないでしょうか。
オペレーションよりコンセプチュアルな領域の思考をするためには相応の能力を向上させる必要があります。
そのためにも、絵を描く習慣を持つことをお勧めいたします。