言葉の定義

「海」と言われたらどんな風景を思い浮かべるでしょうか?
海の近くに住んでいる方であれば、自分の居住地の近くの海を思い浮かべるかもしれませんし、海外旅行で南の島に行った人は旅行で見た海を思い浮かべるかもしれません。
同じ海であっても人によって思い浮かべる風景は異なるでしょう。

このように、同じ単語であっても言った側と聞いた側とが違うものを思い浮かべることは多々あります。
業務上でのコミュニケーションでは、こういった齟齬が大きなトラブルや問題の原因になりえます。

意味が混同されているもの

例えば、「問題」「課題」はそれぞれ異なる言葉です。

ビジネスシーンにおいて、「問題」は現状と理想とのギャップを指し、「課題」はそのギャップを埋めるために取り組むことを指すことが一般的です。
加えて、問題は解決するものであり、課題は達成するものです。
また、1つの問題に対して課題が複数あることも珍しくありません。

さて、問題と課題を混同してしまうと、目的と手段を混同することにつながります。

例えば、1か月当たりの平均売上高が1億円の会社が、競合の登場により最近は月平均8,000万円の売上高になっており、なんとか月平均の売上高を1億円に戻したい状況だとします。
この場合は、「問題=月あたりの平均売上高が理想よりも2,000万円低いこと」であり、「課題=2,000万円の売上向上を図るために行う取り組み」です。

問題と課題とを混同していると、競合のせいで売上が下がったことから、「課題=競合に対抗すること」としてしまいかねません。
売上高を2,000万円分向上させることが目的ですので、競合と競争しない新規の顧客開拓、新商品の取り扱いといった取組の可能性を自ら捨てることになってしまいます。

意味があいまいかつなもの

言葉の意味が意味があいまいなもの、意味するところが広い言葉の場合、使用状況や使用者によって違う意味に捉えてしまったり、何も伝わらなかったりすることがありえます。

例えば、「計画達成のために、もっと担当者同士でコミュニケーションを密にして欲しい」と指示した場合、「コミュニケーション」「密」の単語のイメージや範囲は指示する側と指示された側とで一致していないでしょう。

指示された側が自分なりの密なコミュニケーションを取ろうとするだけで、それが計画の達成に十分かどうかの判断ができません。
ましてや、ゴールが共有されていないとなれば、結果は言わずもがなです。

誤用が広まっているもの

「アイデアが煮詰まった」と言われるとそれはどういった状況でしょうか?
行き詰ってどうにもならないという意味で捉えている人も多いかもしれませんが、それは誤用です。
煮詰まったの正しい意味は、アイデアが出尽くして結論が出せる状態になったということです。

料理から来ている言葉だと思われますが、食材を煮ていた場合、煮詰まったら料理の完成ですので、それから考えても煮詰まっている状態は完成に近い状態であることがわかると思われます。

さて、「煮詰まった」という意味を誤用している人と正しい人とでは全く反対の意味に捉えてしまいます。

最後に

理由はどうであれ、言った側と言われた側とで内容の適切な共有ができていなければいけません。

もし指示において、意味の齟齬が発生してしまっていたら、適切な指示になっていないことになります。
指示した側の言葉のチョイスが原因ですから、指示された側の責任にしていても何も解決しないでしょう。

もし、指示があいまいに取られてしまっているというようなことがあったのなら、言葉の意味は厳密にされてはいかがでしょうか。

以上、参考になれば幸いです。

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