歯が痛くなったら歯医者に行きますよね。
部屋を借りるときは不動産屋さんに行くはずです。
歯が痛いときに美容院には行きませんし、部屋を借りたいときに弁護士に相談はしません。
自身の課題の達成のために最適な専門家を選択します。
しかし、経営に関して課題があっても適切な相手に相談していないというのが実態のようです。
Table of Contents
経営課題達成のための相談相手
2020年度の中小企業白書では中小企業・小規模事業者の経営課題への取組ついて触れられています。
参考URL:https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2020/shokibo/b3_2_2.html
重要と考える経営課題として、以下のものが挙げられています(それぞれ製造業/非製造業の回答割合)
規模や業種を問わず、「人材」と「営業・販路開拓」と回答する者の割合が6割を超えていることが伺えます。
人材(小規模事業者:68.8%/69.7%、中規模企業:72.7%/84.9%)
営業・販路開拓(小規模事業者:61.4%/64.4%、中規模企業:63.1%/60.0%)
生産・製造(小規模事業者:52.6%/13.4%、中規模企業:52.5%/15.9%)
財務(小規模事業者:35.4%/40.9%、中規模企業:23.4%/37.6%)
商品・サービスの開発・改善(小規模事業者:24.9%/38.2%、中規模企業:30.0%/42.5%)
技術・研究開発(小規模事業者:25.7%/17.2%、中規模企業:32.6%/15.0%)
ICT活用(小規模事業者:7.3%/12.4%、中規模企業:11.1%/19.4%)
これらに対して、日常の相談相手として挙げられている中の上位5つは以下の通りです。
参考URL:https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2020/shokibo/b3_2_4.html
税理士・公認会計士(小規模事業者:61.0%、中規模企業:63.4%)
同業種の経営者仲間(小規模事業者:47.7%、中規模企業:48.7%)
経営陣、従業員(小規模事業者:32.4%、中規模企業:52.1%)
金融機関(小規模事業者:31.5%、中規模企業:46.1%)
異業種の経営者仲間(小規模事業者:31.6%、中規模企業:38.4%)
日常の相談相手の定義として、「必要に応じてコミュニケーションを取ることができ、専門的な内容に限らず、ざっくばらんな企業経営や事業運営に関する話題を持ち掛けることができる者のこと」とされていますので、どこまで真剣に相談しているのかは回答者によってバラツキがありそうです。
しかし、課題に応じた専門家に相談をしているというのは少ないことが分かっていただけるかと思われます。
課題達成のために
中小企業白書では、相談した経営課題は達成されたのかという点に関しては触れられていません。
税理士・公認会計士、同業種の経営者仲間が適切な助言をしてくれるのであれば良いのですが、日常の相談相手として挙げられている相手へ相談することの有用性は不明です。
確実に言えることは、重要な経営課題として挙げられているものに関することを、税金や会計の専門家である税理士・公認会計士に相談しても、専門外のために有効的ではないでしょう。
商工会・商工会議所やよろず支援拠点、その他の公的な相談窓口では、こういった経営課題に関して対応できるようになっています。
相談の担当者が課題の整理をしてくれますし、多くの専門家が登録されていています。
また、自身で解決できなくても、適切な相談窓口を教えてくれます。
しかし、前出の調査では商工会・商工会議所を日常の相談相手として挙げているのは小規模事業者の21.2%、中規模企業の13.4%、公的支援機関を挙げているのは小規模事業者の8.0%、中規模企業の9.4%となっています。
最後に
アンケートでは誰に相談をすると課題が達成できるのかということよりも、日常的に相談できる、身近に相談している相手が誰なのかということで税理士・公認会計士、同業種の経営者仲間を挙げられた方が多かったんだと考えられます。
経営課題を達成するには、相談をする相手は経営課題に応じた適切な相手でなくてはいけません。
歯が痛い場合は歯医者、部屋を借りたければ不動産屋というように、餅は餅屋で経営に関する諸々の課題は支援機関、あるいは直接専門家にご相談されることをお勧めいたします。
以上、参考になれば幸いです。