商品・サービスの品質は顧客満足度向上や競争力強化に欠かせない要素となっています。
品質と一言で言っても種類があり、その特性を理解することが重要です。
どういった品質がどのような性質で、どのような影響を与えるのでしょうか。
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狩野モデル
1980年代に東京理科大学教授の狩野紀昭によって提唱された狩野モデルをご紹介します。
品質管理の分野に対して多大な影響を与えたもので、製品・サービスの品質について「当たり前品質」「一元的品質」「魅力的品質」「無関心品質」「逆品質」の5つに分類したものです。
それぞれの品質は、顧客満足度に対する影響が異なるとしています。
1.当たり前品質
あって当たり前、不充足であれば不満に感じる品質要素です。
ノートパソコンで例えるなら「ちゃんと使用できるか」が該当します。
使いたいときに電源が入って、OSが起動するのは当たり前だと評価されますが、時々電源が入らない、操作を受け付けなくなるといったように、使いたいときに満足に使えなければ不満を引き起こします。
買い手にとって最低限必要な品質水準といえるでしょう。
この品質が低いと顧客満足度に影響します。
2.一元的品質
充足されていれば満足に感じ、充足されていなければ不満に感じる品質要素です。
ノートパソコンで例えるなら、処理速度の速さが該当します。
動作が遅ければ不満に感じ、レスポンスが早くスムーズに動作をすればその分満足度が上がります。
製品・サービスの主たる品質であることが多く、競合と比較したポジションや価格帯と密接に関連しています。
3.魅力品質
充足されていると満足に感じるものの、充足されていなくても当たり前、仕方がないといったように、特に不満に感じない品質です。
ノートパソコンで例えるなら、キータッチのフィーリングが良いといったように、普通よりも大きな付加価値が該当します。
買い手に対して感動や満足感を与える要素であり、製品の競争力を高める重要な要素です。
4.無関心品質
充足されていても、充足されていなかったとしても、買い手の満足度には影響を与えない品質要素です。
ノートパソコンで例えるなら、回路の設計が該当します。
多くの人は普段意識することがなく、品質の違いも分からない方が多いでしょう。
5.逆品質
充足されていれば不満を引き起こし、不充足であれば逆に満足を引き起こす品質要素です。
ノートパソコンで例えるなら、光学ドライブが該当します。
昔は光学ドライブがついているものが主流でしたが、ネット環境の発展と薄型・軽量のものが望まれるようになり、光学ドライブは特に不要になりました。
むしろ、ついていることによって本体が大きく、重くなってしまうために逆品質だと言えます。
品質は流動的
5つの品質は、買い手にとって固定されたものではありません。
例えば、最初は魅力品質に該当していた機能も、普及とともに一元的品質となり、さらに時間の経過とともに当たり前品質になりえます。
そして、要素によっては時間の経過によって逆品質になりえることもありえます。
ユーザーのニーズや満足度を常に考えて、品質や機能、スペックについて見直す必要があります。
最後に
商品やサービスはQCDのバランスを取らなくてはいけません。
狩野モデルの定義している5つの品質に鑑みて、どこに力点を置くか、どこはコストカットすべきかを検討し、品質とコスト、リードタイム、そして何よりも顧客満足度を高められるようにしていただければと思います。
以上、参考になれば幸いです。