厚生労働省による医療施設動態調査(令和5年12月末概数)において、歯科医院の数は全国で67,004施設とのことです。
歯科医院はコンビニエンスストアよりも多いというのがよく言われますが、一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会の調査によると、2024年1月度のコンビニエンスストアの数は全国で55,657店なので、確かに歯科医院はコンビニエンスストアよりも20%以上多いことになります。
コンビニエンスストアよりも数が多かったら何か特別な意味があるのかは不明ですが、歯科医院も少なくない数であることは間違いなさそうです。
そのような歯科医院専門と謳うコンサルタントが非常に多いようで、実際にGoogleで「歯科医院専門 コンサルタント」で検索してみたらたくさんヒットします。
こういったコンサルタントを活用する是非について考えてみたいと思います。
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コンサルタントの活用自体は悪いことではない
歯科医師のほぼ全員が経営について学ぶことがなく歯科医院を開業すると考えられます。
経営をサポートしてもらうためにコンサルタントや外部の専門家を活用すること自体は合理的な判断と言っても良いかもしれません。
しかし、いつ、どんな時でもコンサルタントを活用することが正解とは限りません。
開業時から高額の報酬で契約する必要はない
開業時はどのようにしていけば良いのか分からないということは不安かと思われます。
しかし、開業時からコンサルタントと契約する必要があるでしょうか。
ある程度自分でやった後に契約するならともかく、開業時、つまり売上が0円の状態からコンサルタントと契約しても、コンサルタントの効果は分かりません。
そのため、報酬に見合った成果があったかどうか、判断ができません。
加えて、契約内容はどのようになっているでしょうか。
月当たりの報酬はいくらでしょうか。
契約期間はどのぐらいでしょうか。
それらがどういったものであれば妥当であるかは一概には言えませんが、報酬を支払った上で、それ以上に営業利益額を増やすことができないのであれば、そのコンサルタントへの報酬は妥当性は低いと言えるでしょう。
「診察台1台当たりの患者数は、○人以上です」だけで、具体的なターゲット選定や集客の支援ができない。
あるいは、「資金調達のために計画作成を支援します」といって数字は作るものの、どうやってその売上を作っていくのか根拠が不明。
こういったことでは報酬に見合った成果を得られるとは考えづらいです。
契約書に解除条項がなければ、最初に定めた期間が経過するまで解約できず、全く無駄な費用を払い続けることになってしまいます。
職業人としてのモラル
一般企業に対するコンサルティングの報酬でいえば、毎月の報酬額が20万円を超えるとなると、3億円程度の売上高がないと支払うのが難しいと考えられます。
卸売業や小売業のように粗利の小さい事業者はもっと売上が必要です。
開業したての歯科医院に対して、10数万や20万円を超えるような報酬を要求するのは、右も左もよく分かっていない歯科医院をカモにしてやろうとという魂胆であることも十分考えられます。
全員がそうだとは言いませんが、事業者に対して過剰な負担を強いること自体が、金さえもらえば相手のことはどうでもいいという、職業人としてのモラルに欠けています。
それが契約の相手として妥当でしょうか。
しかし、そういったコンサルタントと契約をするという判断をしたことは自身の責任であるという点も付け加えておきます。
最後に
繰り返しになりますが、コンサルタントを始めとした外部の専門家を活用してはいけない訳ではありません。
しかし、開業して間もないのであれば、公的機関の無料の相談窓口を活用するなどして、まずは極力資金を使わずに頑張ってみることをお勧めします。
そうでないと、何をどこまでサポートしてもらうかも検討することができません。
また、コンサルタントを利用してみて不満があるというのであれば、速やかに契約を解除して、別のコンサルタントを探すか、コンサルタントを活用しないで頑張りましょう。
以上、参考になれば幸いです。