ニュースの記事で有名人のX(旧Twitter)の投稿や、TVでの発言をもとにした記事を見かけないでしょうか。
こういった取材や下調べをせず、メディアから収集した情報だけで書く記事のことをコタツ記事と呼びます。
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コタツ記事がはびこる理由
コタツ記事が量産される大きな理由として、手間やコストをかけずに記事が書けるということが挙げられます。
プロスポーツチームの試合後のロッカールームに、通常は取材陣が入ることはできませんが、チームが公開したYoutube動画を見たら、試合後に監督がこんなことを言っていたという記事を、交通費ゼロ、移動時間ゼロで簡単に書くことができます。
まさにコタツ記事の名前の由来通り、コタツに入ったまま記事を書けるということです。
さらに、取材をしないで書く二次情報ですから、ちゃんと時間をかけて取材するよりも記事を量産しやすく、結果としてサイト全体のページビューを稼ぐことができます。
また、更新頻度が早いことも、SEO的には有利です。
時間・コスト・手間をかけずに大量に記事を量産することができるというのがコタツ記事がはびこる理由です。
当然ですが、コタツ記事に対する読者の評価は高くはありません。
INPUTとOUTPUT
コタツ記事は、なるべく楽して記事を書きたいという自社の都合によって生み出されるもので、当然ながら記事としての品質は取材をして時間をかけたものよりも低くなります。
以下はINPUT(業務に対してかける手間やコスト)とOUTPUT(商品・サービスの質)の関係を現した図です。
①手間やコストを減らしたうえで、成果を維持する 2手間やコストを減らしたうえで、成果を高める 3手間やコストはそのままで、成果を高める 4手間やコストは増えるが、成果をそれ以上に高める 5成果を減らすが、手間やコストをそれ以上に減らす
5つのパターンの内、コタツ記事の場合は⑤に該当します。 INPUTは大幅に減っていますが、OUTPUTも下がっています。
手間やコストそのものを削減すること自体は、企業として正しい姿勢です。
本来であれば、手間やコストの削減であれば、手間やコストを減らしたうえで、成果を維持する①を目指す必要があります。
しかし、品質を維持しよう、ましてや良い記事を書こうという意思がなく、PVを稼ぐために記事を書くことが目的になってしまっているので、⑤になっているということです。
目指すべきパターン
⑤は避けるべきパターンですが、他の4つは全て目指すべきパターンです。
もちろん、いずれかを目指すのかは状況によります。
①手間やコストを減らしたうえで、成果を維持する
現状と同じ成果を上げるために、いかに無駄を排除できるかという考え方です。
業務の内容をピックアップし、ECRSや合理化の3Sといった手法でムリ・ムダ・ムラを排除していくといったやり方が考えられます。
②手間やコストを減らしてうえで、成果を高める
受注生産の製造業においては、手間やコストを減らした上で成果を上げることを要求されることがありえます。
成果をどこまで高めるかの目標設定次第では、各々の業務の改良や改善レベルではなく、プロセス全体を再設計し直す必要があるでしょう。
③手間やコストはそのままで、成果を高める
どうしても手間やコストを削減できないのであれば、このパターンを目指すことになります。
いかにINPUTを抑えなつつOUTPUTを高めるか、単に手を早く動かすといったことではなく、全体の設計をし直す必要があります。
④手間やコストは増えるが、成果をそれ以上に高める
既存のターゲットから、より高価でも高い付加価値を求める層に戦略を変更するパターンです。
5つのパターンの内、唯一手間やコストが増えるものですが、それ以上に高い価格で販売できるのであれば検討しても良いでしょう。
最後に
例として取り上げたコタツ記事のように、利益を上げるためにコストや手間を削減するという手段が目的化してしまい、手間やコストを下げた結果、肝心の記事の品質が下がってしまってしまったら本末転倒です。
なお、前述したOUTPUTとINPUTはバリューエンジニアリング(VE)と呼ばれるものです。
もしバリューエンジニアリングに興味を持たれたのでしたら、ご自身で調べられてみてはいかがでしょうか。
以上、参考になれば幸いです。