1.01の法則というものをご存じでしょうか。
1は何乗しても1のままですが、1.01を365乗すると約37.8になります。
つまり、毎日1%の成長を続ければ、1年後で37.8倍にもなるという、努力を積み重ねる大切さを説いています。
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教訓としては正しい
毎日コツコツと努力を続けることで成長することは事実ですし、大切なことです。
しかし、毎日1%の成長というのは複利ですので、初日は僅かな努力で済んでいたことも日を重ねるにつれて実現不可能な量にもなりかねません。
英単語の暗記で例えると、1,000語の英単語を覚えている人がいたとします。
毎日覚えている英単語の1%に相当する単語を新たに暗記をします。
一度覚えた単語は忘れないと仮定すると、1日に覚えなくてはいけない単語数は以下の通りです。
初日…10語
30日目…約13.35語
90日目…約24.24語
180日目…約59.36語
365日目…約374.09語
いかがでしょうか。 初日の10語でも大変そうですが、指数関数的に増加していくため、途中から現実的ではない数量になってしまいます。
1.01の法則は、インターネット上でも非常に肯定的に捉えられていますが、1年後に37.8倍まで成長するためには同じ部分を成長させる必要があり、現実的ではないと言えるでしょう。
ただ、日々の小さな努力を積み重ねることが大切であるということ自体は、正しいことだと言えます。
0.99の法則
1.01の法則と対になっている0.99の法則というものもあります。
1.01の365乗が元の37.8倍になるように、0.99の365乗は約0.03になるというものです。
毎日1%の成長を続けると大きく成長するように、毎日1%の衰退は1年後にはほぼゼロになってしまうということです。
37.8は0.03の1,260倍ですので、1年間毎日頑張るか、怠けるかで1年後に1,260倍の差が出てしまうといった形で説かれることがあります。
実際問題として毎日1%ずつ、複利で衰退するということも、毎日1%ずつ複利で成長することと同様に現実的な話ではなさそうです。
そのため、数字自体は無視するとしても、日々衰退しないように努めることが大切であることは間違いないでしょう。
経営における1.01の法則、0.99の法則
1.01の法則と0.99は経営において、または業務において重要な示唆を与えてくれます。
頑張れば1年で37.8倍になる、0.03倍になってしまうといった数字は別として、日々の努力、日々の改善、日々の改変といったことの積み重ねが非常に重要です。
例えば、人件費は上がりこそすれ下がることはありませんので、費用は徐々に上がっていきます。
売上高が横ばいだと、費用が増加した分だけ利益は縮小してしまいます。
利益を維持、増加するためには費用の増加分以上に売上高を上げ続けていく必要があります。
そのためには、従業員の成長や従業員数の増加、設備増強といった経営資源の適正化を行わなくてはいけません。
設備であれば資金さえあればすぐに増強できるかもしれませんが、人材の成長はすぐに達成できるわけではありません。
前述したように、日々の業務をこなすだけではなく、日々の成長のための努力が求められます。
現状維持で現状維持ができるか
目の前の業務は大切です。 ですが、日々の業務をこなすだけではなかなか企業は成長できません。
さらに我が国は人口減少をしていますので、今後も引き続き内需は縮小していきます。
そのため、何も変わらなければ売上高は下がっていきます。
現状の事業ドメイン、現状のやり方を維持することで得られる結果は、現状維持ではなく、相対的な後退だということです。
つまり「1.01」にならなくても、せめて「1」を維持……ということもできずに「0.99」になってしまうということになります。
最後に
競合の成長は相対的な衰退ですし、環境の変化に対応できないのも衰退です。
そのため、能動的に成長を図っていけなければ、現状維持すら難しいのが現実です。
僅かで構わないので、成長するために日々できることはないでしょうか。
以上、参考になれば幸いです。