テレビを見る人が減っていることは、どなたも感じていらっしゃるのではないでしょうか。
総務省の調査によると、平成18年(2006年)の1日のテレビ視聴時間の平均は4時間43分であることに対して、令和元年(2019)では3時間55分となっています。
この間ずっと右肩下がりで減少しています。
テレビを見るといっても、積極的に見る場合、ただつけているだけ、といったように一様ではないものの、国内のテレビ視聴が減少していること自体は間違いありません。
テレビ離れの原因は様々あると考えられますが、テレビの衰退は短期的な傾向ではなく、長期的な傾向だというのは間違いないでしょう。
今回は、衰退産業であるテレビ業界を題材に、中小企業の経営のヒントを探ろうと思います。
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メディアとしての魅力度の低下
NHKを除く地上波のTV局は無料で見ることができます。
様々なセグメントをターゲットにした番組を制作して放送することで、特定のセグメントへ訴求したい企業からの広告収入を得るというのがTV局のビジネスモデルです。
大手広告代理店の電通の調査によると、日本では2019年にインターネットの広告費がテレビの広告費を抜いたとのことです。
このテレビには地上波だけでなく、BSやCSも含まれると考えられますが、いずれにしても今後ますますテレビの広告出稿料は下がることは間違いないでしょう。
収入の低下は予算の低下につながります。
予算の低下は番組の質の低下につながります。
番組の質の低下は視聴率の低下につながり、つまりは宣伝媒体としての魅力の低下につながります。
その結果、さらに減収してしまいます。
また、就職希望をする人は衰退していく産業を敬遠します。
失礼な言い方になりますが、衰退産業に22歳で就職して40年先まで安泰にすごせると考えている、先のことを考えていないセンスのない大学生ばかりがテレビ局に就職することになります。
その結果、ますます番組の質が下がるといった結果が予想されます。
テレビは、まさに負のサイクルに入っていると言えるでしょう。
日本の人口が減っている中で、まず回復は望めません。
しかし、テレビが完全になくなるとまでは考えにくいです。
どこまで市場が縮小するのかは分かりませんが、現在よりもさらに予算規模は小さくなるでしょう。
メインからサブに
衰退産業であるテレビ業界において、経営面ではどういったことが起こっているのでしょうか?
地上波のテレビ局の衰退は時代の流れといえるのかもしれません。
このように、時勢や構造的な問題から市場が縮小しているのであれば、一時的なリストラクチャといった小手先の対策では根本的な解決になりません。
抜本的な、ドラスティックな対応が必要になります。
実際に、テレビ局を含めたグループ全体の決算状況を見ると、不動産事業が収益の柱となっているグループがいくつもあります。
つまり、非関連な事業に進出したということです。
その結果、グループ企業の中でテレビ局からの売上がメインという立場から、全体の中の一部になってしまったグループもいくつもあります。
魅力のなくなった市場、衰退しつつある市場はドラスティックな出来事が起こらない限り、好転はしないでしょう。
そういった市場環境に置かれた企業は、いつまで同市場にいつづけるのか、どのような形で撤退する(他の事業にシフト)するのかといった選択肢を持っておく必要があろうかと思われます。
変化の兆し
過去から現在の間に多くの産業が新たに起こり、また多くの産業が衰退し、なくなってきました。
テレビも衰退側に入ってしまい、対策もろくにとれずに衰退を止められないという状態です。
テレビの場合は視聴率という形で視聴者が離れていることは分かっていたはずです。
それを個々の番組のせいにしていたのかもしれませんし、分かっていたけど見ないふりをしていたのかもしれません。
いずれにしても、視聴率の低下が時代の流れだというのであれば、時代に合わせた変化が求められます。
前述したように、非関連の不動産事業に力を入れているというのは、経営側もテレビはもうどうにもならないと思っているのかもしれません。
最後に
今まで意識していなかったものを意識し始めると、関連した情報が自然と目に留まりやすくなった経験はどなたもあるのではないでしょうか。
これは「カラーバス効果」 と呼ばれているものです。
さて、良い変化であれ、悪い変化であれ、市場の変化を掴むためには、変化の兆しを見逃さないようにする必要があります。
何をどうすれば見逃さないといった手法はありませんが、変化の兆しを意識していれば、カラーバス効果で見逃さない可能性は高まるはずです。
貴社のいる業界は、どういったところに変化の兆しが現れるでしょうか?
変化の兆しをいち早く掴んで、いち早く対応しましょう。