AIができないこと

AIによってホワイトカラーの仕事の多くが影響を受けることが見込まれます。
とはいうものの、ホワイトカラーの仕事の領域全てをAIが対応できるわけではありません。

AIには取って代わられづらい領域をいくつか挙げて、AIができないことをご紹介したいと思います。

クリエイター

画像生成AIや音楽作成のAIの登場で、クリエイターの仕事を奪うといった意見もあるようです。

AIは知能だと言えるものだとしても、感覚や感情を持っていません。
そのため、どのようなクリエイティブ(映像や画像、音楽など)にすれば良いのか、判断ができません。

例えば、商品のPVを作成するとしましょう。
興味を引いて購入しようと思うような動画のシナリオ、スクリプト、画像・映像、BGM、これらが揃って効果のあるPVになります。

生成AIで素材やスクリプト、BGMまで生成できるかもしれませんが、決して「AIが生成できるもの≠PVとして目的を果たすことができるもの」ではありません。

クリエイティブに対する認識はプロとアマチュアとでは大きな隔たりがあります。
デザインやイラスト、音楽など、様々なクリエイティブは全て何らかの課題を達成するために存在しています。
アマチュアの方の認識は、単に映像が奇麗だったら売れる、雰囲気のあるBGMが鳴ってれば良いというものかもしれませんが、それでは望んだ成果を得ることはできないでしょう。

コンサルタント

コンサルタントの定義はあいまいですが、企業の課題を抽出し、課題を達成するためのサポートをする人を本記事ではコンサルタントとします。

AIは膨大な知識を備えています。
確かに知識の差はAIによって大きく埋まるかもしれません。
したがって、クライアントとの知識のギャップが付加価値だという職業は価値を失うかもしれません。

しかし、企業の課題を抽出し、課題を達成するサポートができる人は、AIに仕事を奪われることはありません。

自社の課題をAIに入力して答えを得るプロセスで考えてみましょう。

そもそも自社の課題を客観的に抽出することができません。
なぜなら、自社のいる業界、自社について、主観でしか見ることができないからです。

続いて十分な回答を得るためには、AIに必要なことを入力する必要がありますが、入力ための言語化ができません(過去の記事「言語化できる範囲」参照)。

また、何をどこまで入力したら適切な回答が得られるのか判断ができない状態で入力をすることになりますので、入力した内容が妥当な回答を得るには不足している、あるいは質が低い可能性があります。
そういった入力から得られるAIの回答は企業の事情に鑑みた回答ではなく、最大公約数的なふんわりとした抽象的な回答にならざるを得ません。

マネジメント層

経営者や管理職に求められる経営判断や人のマネジメントといったことはAIにはできません。

経営とは答えのない世界です。
自ら答えを作り出して、達成するために行動を取る必要がありますが、AIは自ら考え、答えを作り出すことはできません。
経営者がやらなくてはいけないことができません。

また、人には意思や感情がありますので、正論だけでは納得して行動しません。
前述のようにAIは感情や感覚を理解できませんので、それらを踏まえた回答を出すことができません。

AIにできることは正確性とスピードが求められる「作業」です。
囲碁や将棋が人間よりも強くなってしまいましたが、それらは決められたルールの中での勝負です。

決められたルールがなく、条件も環境も企業ごとに異なる中で、未来のことを考えつつ、自ら答えを作り出し、また判断するといったことはAIには到底不可能なことです。

最後に

AIとはあくまでも人間のために作られたツールです。
うまく活用するために、ツールについて理解をすることが重要です。

以上、参考になれば幸いです。

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