相撲取りやプロレスラーのような筋力のある人でも、逆に力のない子供であったとしても、フォークリフトで持ち上げることができる物の重さは同じです。
このように、機械は人間の体力・筋力の差を埋めました。
同じようにAIは何の差を埋めてしまうのでしょうか。
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AIによって埋まる差
現在は第3次AIブームと呼ばれています。
ディープラーニングが登場し、大量のデータを自ら学ぶことができるようになったため、AIは莫大な知識(情報)を備えています。
そして、今後もインターネットから学び続けます。
つまり、個々の人間では到底及ばない知識をAIは備えており、今後はAIによって埋まるものの一つとして考えられるもの、それが「知識の差」です。
AIによって失われる職業・業務
知識の差が埋まることによって、知識のギャップを提供することが付加価値だった職業・業務は、その価値を失うことになるでしょう。
士業がAIによって仕事を奪われるという記事が日経新聞に掲載されたのは2017年のことですが、その主な理由は、士業の業務の多くは「定型的な業務」であり、AIの方が早くて正確だという理由でした。
しかし、士業の場合はそれぞれ法律の専門家であり、法律の知識に基づいて業務を行っています。
そのため、AIによって法律の知識の差が埋まってしまうと、士業の方がセカンドオピニオン、サードオピニオンになってしまう可能性があります。
AIによって失われない業務
AIも万能ではありません。
以下のようなパターン化の難しい領域の業務はAIは苦手であるため、これらの領域だとAIとは住み分けができる可能性が高いでしょう。
- 創造性
- 対人スキル
- 柔軟・複雑な意思決定
- 高度な専門知識
- 物理的作業
- 倫理的判断
創造性
絵を描いたり、曲を作ったりするAIも存在します。
しかし、AIで作られたものが使用に耐えうる基準を満たしているかどうかは別の話です。
AIは感情や感覚を持っておらず、理解もできません。
例えば、映画のワンシーンに使用するBGMを作るにしても、人間の作曲家なら映像や前後のシーンに鑑みて盛り上げられるようなメロディーや編曲ができますが、AIにはそれができません。
対人スキル
前述したようにAIは感情や感覚を持っておらず、状況を察する、空気を読むといったこともできません。
いわゆる「正しい」回答はできるかもしれませんが、正しいからといって相手が受け入れるかどうかは別の話です。
相手の状況に鑑みて適切に情報を聞き出したり、相手に受け入れられるような回答はできませんので、対人スキルが必要な業務はAIの苦手とするところです。
柔軟・複雑な意思決定
状況が変わる中で柔軟な判断をしなければいけない、あるいは経営判断のように条件が多くて複雑な状況においては、AIは適切な回答を出しづらいです。
また、前述したような状況はAIに対して適切な情報提供も難しいです。
高度な専門知識
AIは高度な専門知識のコンテクスト(文脈)を理解することは難しく、また専門家が備えている経験も持ち合わせていません。
物理的作業
マニピュレーターと接続すれば何らかの作業をすることはできるかもしれませんが、AIは感覚を備えておらず、実際に手を動かす業務は人間には適いません。
倫理的判断
倫理的な判断は人間にも難しいことですが、感情を持たず、常識の判断ができないAIには難しい領域です。
最後に
19世紀のイギリスで産業革命が起きました。 機械の発展・普及は前述のように体力・筋力の差を埋めました。
その結果、多くの職業が影響を受け、存在自体がなくなり、また新たな職業が生まれました。
同様にAIも大きなインパクトを与えることは予想されています。
今のうちに、AIの得意とする領域から不得意な領域にシフトすることが必要になります。
以上、参考になれば幸いです。