経済産業省はIT化やDXを推進しています。
IT化とDXの大きな違いは、IT化がITを活用した業務効率化による生産性の向上を目的としたものであることに対して、DXはITを手段とした付加価値や競争力の向上を目的としたものであるといえるでしょう。
企業の規模を問わず、IT化とDXのいずれも今後はより重要性が高まります。
IT化およびDXのためにシステムやデジタルツールを導入するも、上手くいかないケースは非常に多いです。
それはなぜでしょうか。
Table of Contents
IT化やDXの前提
そもそも、なぜIT化やDXが求められるのでしょうか。
これを外してしまうと、IT化やDX自体が目的化してしまい、失敗してしまいます。
労働力の確保の難化
まず、我が国は少子高齢化によって労働人口が減少傾向にあり、労働力の確保が難しくなっているということが挙げられます。
IT技術やITツールによってカバーするということが求められます。
付加価値の向上
工業製品の世界において顕著ですが、中国や東南アジアの国々の技術力が向上しています。
製品としての品質は基準を満たしている上、日本と比較して人件費の安い国々の方に発注をするのは当然のことです。
我が国としては、周辺の国が生産できる製品で価格競争はできませんので、より高価格で販売できる高品質な製品を生産していかなくてはいけません。
サービス業においても同様で、必ずしも人間がやらなくても良い業務、付加価値に繋がりにくい業務をIT技術やITツールによってカバーし、より高い付加価値を提供できるようにリソースの再配分を行うことが求められます。
競争力の向上
競合他社がIT化やDXによる業務効率化を果たしている場合、IT化やDXが遅れている企業は相対的に競争力が低下してしまいます。
その結果、顧客満足度が低下する可能性があります。
IT化、DXの失敗の原因
ベンダーやシステムインテグレーターに対して、現状の課題を伝えるだけでは、恐らく高確率で失敗します。
ベンダーやシステムインテグレーターは、貴社の業務については知りません。
しかし、プロですから課題をヒアリングすれば、システムの導入をすること自体は可能です。
その結果、現場の担当者が使いづらい、課題の達成に繋がっていない、ボトルネックの解消ができなかった、などといったことになってしまいます。
システム導入の前にすべきこと
システム導入にあたって最低限行わなければいけないことは3点あります。
それぞれ以下の通りです。
- 目的の明確化
- 現場担当者の理解
- 業務の整理
1.目的の明確化
ITツールやシステムを導入するのはあくまでも手段であり、導入の目的があります。
周りがしているから、IT化やDXで効率化するんですよね、といったことでは失敗が目に見えています。
可能な限り定量化された目標の設定をしましょう。
分かりやすい管理目標としては、作業時間、ミスの件数、コストといったところでしょう。
2.現場の担当者の理解
実際にITツールやシステムを使用する現場の担当者の理解を得る必要があります。
そのために考慮すべきことは、現場の要望に対してどこまで対応すべきかという点に加えて、担当者のITリテラシーに対しても考慮すべきです。
ただでさえ、今まで慣れたやり方を変えること自体、反発を招きがちな行為です。
さらにITリテラシーが高くない場合、効率化されるメリットよりも、新しいことを覚えなくてはいけないことの方がウエイトが大きく、反発や抵抗につながります。
特に、古くからある業界は古い慣習、古いやり方が当たり前ですので、ITリテラシーが高くないケースが多いです。
3.業務の整理
業務フローに無駄やミスが起こる原因が潜んでいる状態で、システムを導入したところで根本の解決はできません。
業務フローにおける各工程ごとに付加価値の創出・向上につながらない作業を排する、あるいは簡略化といった整理を行います。
さらに、各担当の業務の標準化を行います。
その上で、IT化することで人の手が不要になる、IT化することでミスを減少させるためのシステムの導入といったことが必要です。
最後に
我が国の中小企業を取り巻く外部環境の変化に対応するためにIT化やDXを避けて通れない企業は多いと考えられます。
ベンダーやシステムインテグレーターに任せっきりではコストを回収できない結果となるでしょう。
何をどうすれば成功するといった都合の良いやり方はないかもしれませんが、失敗する原因を回避できればその分の確度は向上します。
より確度の高いIT化、DXを実現していただければと思います。
以上、参考になれば幸いです。