ITの進化が激しい昨今のビジネス環境では、中小企業にとってもIT化は選択肢ではなく、必須の要素となっています。
しかし、「IT化」と一言で言っても、何から手を付ければ良いのか、どのように進めれば良いのか、難しい問題かもしれません。
目標を達成するためのIT化を進める上での基本的なステップと、その具体的な取り組み方を解説します。
Table of Contents
担当者の選定
プロジェクトメンバーの選定をするところから始めます。
ITに物怖じしない若い人に任せれば良いということではなく、関係する部門のトップ、またはそれに近い権限を持った人が参加するのが理想です。
さらに、全体のリーダーは部門を横断して、全社的に会社を俯瞰できる人が望ましいです。
もちろん、会社の規模によっては経営者様自身がリーダーを務めていただいても結構です。
重要なことは、最終的に外部の専門家やシステム会社の力を借りるにしても、分からないので全部お任せではなくて、自社でリードしようという意識をメンバー全員が持つことです。
現状把握とありたい姿の設定
IT化はそれ自体が目的ではなく、あくまでもありたい姿を達成するための手段です。
そして、ありたい姿を設定するためには、現状を把握する必要があります。
業務のどの部分がボトルネックになっているか。
どこでどのようなミスが発生しているか、あるいは発生する可能性があるか。
顧客からの要望に対応するためにどこを効率化する必要があるか、といった業務における現状を担当者を通じて把握しましょう。
その上で、それぞれどういった状態がありたい姿(理想)であるかも設定します。
現状の把握とありたい姿を設定しないでシステム会社に依頼する、パッケージソフトを購入するといったことをすると、ほぼ失敗します。
専門家への相談
まずは公的機関の専門家派遣やコンサルタントなど、業務改善やITに長けた専門家に相談されることをお勧めします。
なお、ここでいう専門家にはシステム会社は含まれません。
システム会社に相談をしたら、自社のシステムや自社での開発を営業されるだけだからです。
このフェイズで行うことは、予算や時間という制約の中で、どの工程をIT化するのが効果が高いかを検討することです。
まずは作業や生産工程を見直す余地があるかどうかから考えてください。
空いた土地に建物を建設する場合、いきなり建物を建てるようなことはしません。 必ず造成工事や整地をします。
IT化も同様で、ECRSを行ってまずは業務のムリ・ムラ・ムダをなくした上でIT化を図ります。
サービス・システム会社の選定
現状とありたい姿のギャップの内、どれだけ埋めたいのか明確にしましょう。
さもなければ、投資をした成果を測ることができません。
パッケージソフトの導入やWebサービスの利用であれば、専門家と相談しながら選定してください。
システム会社に発注するのであれば、複数の業者から相見積もりを取ると同時に、条件を満たす提案をしてくれる相手を選ぶようにすることをお勧めします。
その際に、技術的な話ではなく、経営課題をクリアできるということを論理的に説明してくれる相手が理想です。
従業員教育
IT化した業務のマニュアル化と教育を行います。
マニュアルも最初に作って終わりではなく、適宜業務をしながら改定してください。
効果の測定
定期的に想定しているだけの成果が出ているか、想定通りの進捗かどうかを測る必要があります。
想定の範囲を下回っているのであれば、原因を追究し、改善する必要があります。
最後に
IT化に不慣れな会社は導入に不慣れなだけでなく、IT化による業務効率化に対する社内の意識も高くない可能性があります。
少しずつでも成功体験を積み重ねることで、社内の意識も変わっていくでしょう。
以上、参考になれば幸いです。