必ずしも合理的、計画的か

マーケティングにおいて、一般消費者の購買経緯は衝動的、慣習的であることが多く、企業の場合は合理的、計画的であることが多いと言われています。
企業が何かを買うにしても、意思決定を行っているのは人間であり、人間は必ずしも合理的な意思決定を行う訳ではありません。

したがって、企業に対して営業・プロモーションをするにあたって留意しておきたい、合理的な意思決定を阻害する大きな要因であるプロスペクト理論と現状維持バイアスをご紹介いたします。

プロスペクト理論

望んでいる成果を得ることができると分かっておきながら、成果を得るための行動を取らないというのは合理的な判断ではありません。
しかし、当然のように合理的でない選択肢を取ります。

それは、人間は得をした際の喜びよりも、損をした際の失意を強く感じる傾向があるからです。
問題を解決するために何らかの取組をしなければいけないとしても、結局放置している企業が多いのは、成果よりもコスト(金銭や手間、望んだ成果を得られないリスク)の方を重く見ているからです。

現状維持バイアス

現状維持バイアスとは、変化や変化に伴うリスクを恐れて現状を維持しようとする心理作用のことです。
問題を対決したいという意思がありながら行動が伴わないのは、そもそも変わること自体を避けるという非合理的な判断です。

現状の問題を解決しない場合、問題を抱えた今後はある程度の想定ができます。
それに対して、問題が解決することで状況が良くなることは分かっているものの、具体的にどのようになるのかは未知数です。

そのため、予想できない良い状態よりも、予想ができる悪い状態を選択してしまうということは往々にしてありえます。

最後に

企業が何らかの投資をする大きな理由は、利益を向上させるためです。
そのために、何か変えたいことがあったとしても、新しい施策を行うこと自体への抵抗感と投資した費用や時間を惜しむ心理によって、実際の行動を起こさないというのが珍しくないことです。

加えて、意思決定において社内の影響力のある個人の考えや感情によって判断されることは十分にあり得ます。
そうなると、事業者向けの商品であっても、最終的判断は一般消費者と同じような判断基準で検討されることになります。
つまり、必ずしも一般的にマーケティングで言われていることと逆のことになりえるということです。

以上、参考になれば幸いです。

経営に関するご相談、お問い合わせなど、お気軽にご連絡ください。

CONTACT